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労務コラム
人事・労務に関する法改正や、日々の労務管理で押さえておきたいポイントなど、事業主・人事労務ご担当者の皆さまにお役立ていただける情報を、わかりやすくお届けしていきます。
始末書を書かない社員への対応|顛末書との使い分けと会社が注意すべき点
社員の遅刻や業務上のルール違反、指示に従わないといった問題行動があったとき、口頭で注意して終わっていないでしょうか。 一度の注意で改善されればよいのですが、同じような問題が繰り返された場合には、会社として「いつ、何があり、どのような注意や指導をしたのか」を確認できるようにしておくことが大切です。今後、さらに指導を続けるのか、懲戒処分などを検討するのかを判断する場面でも、それまでの経過が分かる記録は重要になります。 こうした場面でよく使われる書面の一つが「始末書」です。 ところが、始末書には事実関係だけでなく、謝罪や反省を記載させることも多いため、社員から「始末書は書きません」と提出を拒否されることがあります。 では、始末書を書かない社員に対して、会社はどう対応すればよいのでしょうか。 大切なのは、始末書を書かせること自体を目的にするのではなく、問題行動の内容や会社の対応を、必要な範囲で記録として残すことです。始末書の提出を拒否された場合でも、顛末書(事実報告書)として事実関係の報告を求める方法があります。 始末書と顛末書は何が違うのか...
会社が押さえたい「管理職」と「管理監督者」の違い
今回は、「管理職なら残業代は不要なのか?」という疑問を入り口に、「管理職」と労働基準法上の「管理監督者」の違いについて見ていきます。 「店長やマネージャーには残業代を払っていない」という会社もあるかもしれません。 たしかに、一定の立場にある人については、通常の従業員と同じように残業代を支払わなくてよい場合があります。ただし、残業代の支払いが不要となるのは、労働基準法上の「管理監督者」に該当する場合です。 店長やマネージャーといった肩書が付いていても、それだけで管理監督者になるわけではありません。 「管理職」と「管理監督者」は同じではない 会社では、一定の役職以上を「管理職」として扱っていることがあります。 しかし、会社が定める管理職と、労働基準法上の管理監督者は別の可能性があります。 労働基準法第41条では、「監督若しくは管理の地位にある者」について、労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しないとしています。管理監督者に該当すれば、時間外労働や休日労働について、通常の従業員と同じように割増賃金を支払う必要はありません。 一方で、管理監督者に当たる
ハーズバーグの二要因理論から考える従業員定着と職場環境
今回は少し趣向を変えて、日々の労務管理にも関係する人事面の考え方を一つご紹介します。 人が辞める、社員のやる気が感じられない、せっかく採用してもなかなか定着しない。こうした問題は、必ずしも労働法や制度だけで解決できるものではありません。 一方で、賃金や労働時間、休暇の取りやすさ、上司との関係など、普段の労務管理とも深く関係しています。 そこで今回は、職場に対する満足や不満を考えるうえでよく知られている「ハーズバーグの二要因理論」について説明します。 ハーズバーグは、職場に関する要因を大きく二つに分けて考えました。 一つ目は「衛生要因」です。給与、労働条件、福利厚生、職場環境、上司との関係などがこれにあたります。これらは、足りていないと不満につながりやすい一方、改善すると不満は減るものの、それだけで強いモチベーションにつながるとは限らないとされています。 二つ目は「動機づけ要因」です。仕事の達成感、責任ある仕事を任されること、周囲から認められること、仕事そのもののやりがい、成長の実感などがこれにあたります。こちらは、なくても直ちに大きな不満につなが
何度注意しても改善しない社員、会社はどこまで指導すればいい?
「仕事上のミスが多い」「勤務態度に問題がある」――。 社員の仕事ぶりに問題を感じたとき、会社としてどのように対応すればよいのか、悩むこともあるでしょう。 状況によっては、「このまま雇用を続けるのは難しいのでは」と考えることもあるかもしれません。 結論からいうと、一般的な能力不足や勤務態度不良の場合、1度注意しただけで直ちに解雇に進むのは避けた方がよいでしょう。 会社が問題点を本人に伝え、教育や指導を行い、改善する機会を与えたにもかかわらず、それでも改善が見られなかったという経過が重要になります。 裁判でも「改善する機会を与えたか」が見られる 参考になるのが、セガ・エンタープライゼス事件(東京地裁平成11年10月15日決定)です。 この事件では、会社が勤務成績の低い社員について、労働能力が劣り、向上の見込みがないとして解雇しました。 しかし裁判所は、平均的な水準に達していないというだけでは、直ちに解雇事由に該当するとはいえないとしました。さらに、会社には体系的な教育や指導によって本人の能力向上を図る余地があったにもかかわらず、それを行っていなかった
現場への移動時間はどこから労働時間? 直行・会社集合・乗り合いをケース別に解説
今日は、現場で働く従業員の「移動時間」が、どこから労働時間になるのかについて見ていきます。 建設業や設備業、メンテナンス業など、現場へ移動して仕事をする会社では、「移動時間をどこから労働時間として扱えばよいのか」が問題になることがあります。 例えば、朝いったん会社に集合してから現場へ向かう場合と、自宅から現場へ直行する場合では、同じ「現場への移動」でも扱いは同じではありません。 ポイントは、会社の指示によって、どの時点から従業員が拘束されているかです。 厚生労働省も、労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、移動時間についても、その実態によって判断するという考え方を示しています。 会社に集合してから現場へ向かう場合 例えば、 8:00 会社集合 8:15 社用車で出発 9:00 現場到着・作業開始 というケースです。 会社から8時に集合するよう指示され、そこから社用車で現場へ向かうのであれば、原則として8時から労働時間と考える必要があります。 特に、会社で工具や資材を積み込む、当日の作業内容について打ち合わせをする、社用車を運転して
基本給は会社の判断で下げられる?減額を検討するときに押さえておきたいポイント
今回は、基本給の減額を検討するときに押さえておきたいポイントについて見ていきます。 「業績が厳しいので人件費を見直したい」「管理職から外れる社員の給与を下げたい」「期待する成果が出ていない社員の基本給を見直したい」――こうしたご相談は、実務上決して珍しくありません。 ただし、基本給は会社が自由に変更できるものではありません。 経営上の必要性や人事上の理由があったとしても、それだけで一方的な減額が認められるわけではない点には注意が必要です。 一方で、「基本給は一度決めたら絶対に下げられない」ということでもありません。大切なのは、減額の理由と会社の賃金制度を整理したうえで、適切な手順を踏むことです。 基本給の減額は「労働条件の変更」 基本給は、労働契約の重要な労働条件の一つです。 労働契約法第8条では、労働者と会社は合意によって労働条件を変更できるとされています。したがって、基本給を変更する場合も、まず基本となるのは本人との合意です。 たとえば、職務内容や責任の範囲を変更し、それに伴って給与額を見直す場合があります。このとき、変更後の仕事内容、給与額
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