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始末書を書かない社員への対応|顛末書との使い分けと会社が注意すべき点

9月28日
読了時間: 5分

社員の遅刻や業務上のルール違反、指示に従わないといった問題行動があったとき、口頭で注意して終わっていないでしょうか。


一度の注意で改善されればよいのですが、同じような問題が繰り返された場合には、会社として「いつ、何があり、どのような注意や指導をしたのか」を確認できるようにしておくことが大切です。今後、さらに指導を続けるのか、懲戒処分などを検討するのかを判断する場面でも、それまでの経過が分かる記録は重要になります。


こうした場面でよく使われる書面の一つが「始末書」です。

ところが、始末書には事実関係だけでなく、謝罪や反省を記載させることも多いため、社員から「始末書は書きません」と提出を拒否されることがあります。


では、始末書を書かない社員に対して、会社はどう対応すればよいのでしょうか。

大切なのは、始末書を書かせること自体を目的にするのではなく、問題行動の内容や会社の対応を、必要な範囲で記録として残すことです。始末書の提出を拒否された場合でも、顛末書(事実報告書)として事実関係の報告を求める方法があります。


始末書と顛末書は何が違うのか


始末書と顛末書は似た書面ですが、その役割は異なります。

始末書は、問題が起きた経緯に加えて、「自分に非があった」「反省している」「今後は同じことをしない」といった謝罪や反省を記載する書面として使われることがあります。


一方、顛末書は、何が起きたのかを会社に報告するための書面です。たとえば、次のような事実関係を記載します。


・いつ、どこで、何が起きたのか

・本人がどのような対応をしたのか

・原因をどのように考えているのか

・その後、どのような対応をしたのか


つまり、始末書には反省や謝罪の意味合いが含まれることがあるのに対し、顛末書は事実関係を報告し、記録することが中心です。


始末書を拒否されたら、顛末書で事実を残す


始末書の提出を求めたものの、社員が「自分は悪くない」「反省文は書きたくない」などとして提出を拒否することがあります。


このような場合、会社が始末書の提出そのものにこだわる必要はありません。会社として必要なのが問題行動の経緯や事実関係の確認であれば、顛末書などの事実報告書として提出を求める方法があります。

反省や謝罪を求めることと、業務上必要な事実を報告させることは、分けて考えるということです。


業務上の必要性があり、報告を求める内容や方法が相当な範囲であれば、顛末書などの事実報告書の提出を業務命令として求めることが考えられます。


そのため、始末書を拒否されたからといって記録を残すことまで諦めるのではなく、まずは必要な事実関係を報告してもらうことが重要です。正当な理由なく、業務上必要な事実報告まで拒否する場合には、業務命令違反としての対応を検討することになります。


始末書を懲戒処分として扱う場合は注意


もう一つ注意したいのが、始末書を懲戒処分として提出させる場合です。

就業規則で、譴責などの懲戒処分として「始末書を提出させる」と定めている場合、その提出が懲戒処分の一部として位置づけられていることがあります。


この場合、「まず始末書を提出させて、その後に減給や出勤停止などを考える」という進め方には注意が必要です。同じ問題行動について一度懲戒処分を行った後、その同じ行為を理由として、さらに別の懲戒処分を重ねることは原則としてできないためです。


甲山福祉センター事件(神戸地裁尼崎支部・昭和58年3月17日判決)でも、すでに懲戒処分を受けた行為を、さらに別の懲戒処分の直接の理由とすることは、一事不再理の原則の趣旨に照らして許されないと判断されています。もっとも、過去の行為や処分歴を、その後の別の問題行動について懲戒処分を検討する際の情状の一つとして考慮することまで否定されたものではありません。


また同事件では、単なる事実の顛末を報告する書面ではなく、自らの誤りを陳謝し、同じような違反を繰り返さないことを約束する趣旨の文書について、その不提出に懲戒処分を加えることで提出を強制することは許されないと判断されています。


始末書を求める場合には、「事実関係を記録するためなのか」「反省や謝罪を求めるためなのか」「懲戒処分として提出させるのか」を会社側で整理しておくことが大切です。


大切なのは「始末書を書かせること」ではなく、必要な記録を残すこと


社員に問題行動があったとき、必ずしも始末書を提出させること自体が目的ではありません。

何が起きたのか、会社がどのような注意や指導をしたのか、その後どうなったのかを確認できるようにしておくことが大切です。

始末書を提出してもらえるのであれば、それも一つの方法です。一方、謝罪や反省を含む始末書を社員が拒否するのであれば、必要な事実関係については顛末書として報告を求める方法があります。


「始末書を取ること」そのものにこだわらず、何を記録として残す必要があるのかという視点で、始末書と顛末書を使い分けることが実務上のポイントです。



住友社会保険労務士・FP事務所では、高松市を中心に香川県内の企業様の労務管理をサポートしています。日常的な労務相談をはじめ、労働時間や休職・復職、問題社員への対応、メンタルヘルス対応、就業規則の整備など、企業の人事・労務管理に関する幅広いご相談に対応しています。

 
 

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