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ハーズバーグの二要因理論から考える従業員定着と職場環境

9月15日
読了時間: 4分

今回は少し趣向を変えて、日々の労務管理にも関係する人事面の考え方を一つご紹介します。


人が辞める、社員のやる気が感じられない、せっかく採用してもなかなか定着しない。こうした問題は、必ずしも労働法や制度だけで解決できるものではありません。

一方で、賃金や労働時間、休暇の取りやすさ、上司との関係など、普段の労務管理とも深く関係しています。


そこで今回は、職場に対する満足や不満を考えるうえでよく知られている「ハーズバーグの二要因理論」について説明します。


ハーズバーグは、職場に関する要因を大きく二つに分けて考えました。

一つ目は「衛生要因」です。給与、労働条件、福利厚生、職場環境、上司との関係などがこれにあたります。これらは、足りていないと不満につながりやすい一方、改善すると不満は減るものの、それだけで強いモチベーションにつながるとは限らないとされています。


二つ目は「動機づけ要因」です。仕事の達成感、責任ある仕事を任されること、周囲から認められること、仕事そのもののやりがい、成長の実感などがこれにあたります。こちらは、なくても直ちに大きな不満につながるとは限りませんが、あることで仕事への満足感や意欲につながりやすいとされています。


たとえば給与は「衛生要因」にあたります。給与が低すぎれば、不満の原因になります。そのため、給与を適正な水準まで引き上げることには大きな意味があります。


ただ、給与を上げれば上げるほど、それに比例して仕事へのやる気も高まり続ける、というわけではありません。給与が上がった直後は満足しても、しばらくするとその水準が本人にとっての「普通」になっていきます。

つまり、給与は不満を減らすうえでは重要ですが、それだけで長期的なモチベーションを生み出すものではない、と考えるわけです。


一方で、「難しい仕事を任され、それをやり遂げた」「自分の仕事を評価してもらえた」「以前よりできることが増えた」といった経験は、動機づけ要因として仕事への意欲につながりやすいとされています。


この考え方は、実際の労務管理を考えるうえでも参考になります。

たとえば、法令を守り、残業代を適切に支払い、有給休暇を取得できるようにすることは当然重要です。

ただ、それだけで社員が「この会社で長く働きたい」と感じるとは限りません。

逆に、「やりがいのある仕事だから」「成長できる会社だから」と言っても、長時間労働が続いていたり、給与の決まり方が分かりにくかったり、上司との関係に強いストレスがあったりすれば、社員の不満はたまっていきます。

まずは働くうえでの土台を整え、そのうえで、仕事への納得感や達成感を持てるようにすることが大切です。


とはいえ、何か大がかりな人事制度を導入しなければならない、という話ではありません。

仕事を依頼するときに「なぜこの仕事が必要なのか」を少し説明する、社員の仕事に対して「助かった」「ありがとう」と伝える、本人の経験に応じて少しずつ仕事を任せる。こうした日常の対応でも、仕事の受け止め方は変わってきます。

また、社員が不満を抱えている場合も、すぐに「給与を上げれば解決する」と考えるのではなく、何に不満を感じているのかを見ていくことが大切です。


労働時間なのか、休暇の取りにくさなのか、仕事の量なのか、上司との関係なのか。原因によって、会社が取るべき対応も変わってきます。

なお、ハーズバーグの二要因理論は、もともと海外の調査をもとに提唱された理論です。そのため、日本の職場やすべての社員に、そのまま当てはまるとは限りません。

人によって、仕事に求めるものも違います。収入を重視する人もいれば、働きやすさを重視する人、仕事の内容や成長を重視する人もいます。

それでも、ハーズバーグの考え方は、職場の問題を考えるときの参考になります。


大切なのは、社員の不満を減らすための取り組みと、仕事へのやる気を高めるための取り組みは、必ずしも同じではないということです。

たとえば、給与や労働時間、休暇の取りやすさを見直すことは、不満を減らすためには重要です。

一方で、仕事への意欲を高めるためには、達成感を持てる仕事を任せる、仕事ぶりをきちんと認める、成長を感じられるようにするといった、別の働きかけも必要になります。

社員の不満が多いときと、やる気が感じられないときでは、会社が考えるべき対応も少し違ってくる、ということです。


人が辞める、社員の不満が多い、職場の雰囲気が良くないといった問題は、必ずしも一つの原因だけで起きているわけではありません。

社員の定着や職場環境を考えるときは、給与や労働条件だけに目を向けるのではなく、仕事の任せ方や達成感などにも目を向けてみると、改善のきっかけが見えてくるかもしれません。



住友社会保険労務士・FP事務所では、高松市を中心に香川県内の企業様の労務管理をサポートしています。日常的な労務相談をはじめ、労働時間や休職・復職、問題社員への対応、メンタルヘルス対応、就業規則の整備など、企業の人事・労務管理に関する幅広いご相談に対応しています。

 
 

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