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何度注意しても改善しない社員、会社はどこまで指導すればいい?

9月8日
読了時間: 5分

「仕事上のミスが多い」「勤務態度に問題がある」――。

社員の仕事ぶりに問題を感じたとき、会社としてどのように対応すればよいのか、悩むこともあるでしょう。

状況によっては、「このまま雇用を続けるのは難しいのでは」と考えることもあるかもしれません。

結論からいうと、一般的な能力不足や勤務態度不良の場合、1度注意しただけで直ちに解雇に進むのは避けた方がよいでしょう。

会社が問題点を本人に伝え、教育や指導を行い、改善する機会を与えたにもかかわらず、それでも改善が見られなかったという経過が重要になります。


裁判でも「改善する機会を与えたか」が見られる


参考になるのが、セガ・エンタープライゼス事件(東京地裁平成11年10月15日決定)です。

この事件では、会社が勤務成績の低い社員について、労働能力が劣り、向上の見込みがないとして解雇しました。

しかし裁判所は、平均的な水準に達していないというだけでは、直ちに解雇事由に該当するとはいえないとしました。さらに、会社には体系的な教育や指導によって本人の能力向上を図る余地があったにもかかわらず、それを行っていなかったことなどから、解雇を認めませんでした。

つまり、「この社員は仕事ができない」という会社側の評価だけでなく、改善するための機会を会社がきちんと与えたかも重要になるということです。


指導したことは、できるだけ記録に残しておく


では、実際にどのように指導すればよいのでしょうか。

理想をいえば、問題となった事実や改善してほしい内容を書面にまとめ、指導書などとして本人に交付し、確認の署名をもらっておく方法があります。

ただ、実際の職場では、毎回そこまで形式的な対応をするのが難しいこともあります。

特に、まだ問題がそれほど深刻ではない段階から突然「指導書です。ここに署名してください」とすると、本人が必要以上に身構えたり、「会社は自分を辞めさせようとしているのではないか」と受け取ったりすることもあります。結果として、その後の関係や仕事への意欲に影響する可能性もあります。

そのため、最初から完璧な書面を作らなければならない、と考える必要はありません。

たとえば面談をした後に、「今日お話ししたとおり、今後は○○について改善をお願いします」とメールや社内チャットで送っておくだけでも、後から見れば「いつ、何について指導したのか」を確認できます。

LINEなどを業務連絡に使用している会社であれば、そこで文章を残す方法もあります。

もちろん、問題が繰り返されている場合や、今後懲戒処分・解雇まで検討する可能性が出てきた段階では、正式な指導書を作成するなど、より明確な記録を残した方がよいでしょう。

大切なのは、最初から形式にこだわりすぎることではなく、指導した事実が後から確認できる状態を少しずつ作っておくことです。


「何度も口頭で言っています」が一番困る


実際の相談で難しいのは、問題がかなり大きくなった後になって、「もう何年も前から何度も注意しています」と言われるケースです。

会社としては、本当に繰り返し注意してきたのだと思います。

ところが、記録を確認すると何も残っていない。本人に聞くと「そんなに注意された覚えはありません」と言われる。

こうなると、これまで会社がどのような問題を指摘し、どのような改善を求めてきたのかを、後から説明することが難しくなります。

だからこそ、日頃の指導の経過を簡単でもよいので残しておくことが大切です。


いきなり解雇ではなく、段階を踏む


もちろん、一度の問題行動でも、その内容が極めて重大であれば話は別です。

しかし、一般的な能力不足や勤務態度不良については、まず本人に問題点を伝え、改善を求める必要があります。

それでも同じ状態が続くのであれば、より明確な指導に切り替える。さらに改善が見られなければ、正式な指導書や就業規則に基づく対応を検討する。

このように段階を踏んでいくことが現実的です。

労働契約法16条でも、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効とされています。

そのため、能力不足や勤務態度を理由に解雇まで検討するのであれば、会社として必要な指導や教育を行い、本人に改善の機会を与えたことを説明できる状態にしておく必要があります。

指導書を毎回作ることが難しければ、まずはメールやチャットで指導内容や経過を残しておく方法もあります。

問題が続くようであれば、少しずつ指導の方法を明確にし、必要に応じて書面での指導に切り替えていく。

問題社員への対応では、最初から強い処分を考えるのではなく、改善を促しながら、その経過をきちんと残していくことが重要です。

ただし、必要となる指導の程度や解雇等の対応が可能かどうかは、問題の内容・程度、これまでの指導経過、就業規則などによって個別に判断する必要があります。



住友社会保険労務士・FP事務所では、高松市を中心に香川県内の企業様の労務管理をサポートしています。日常的な労務相談をはじめ、労働時間や休職・復職、問題社員への対応、メンタルヘルス対応、就業規則の整備など、企業の人事・労務管理に関する幅広いご相談に対応しています。

 
 

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