待機しているだけでも労働時間?「待機時間」を判断するときのポイント
- 22 時間前
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「仕事が発生するまで待っているだけの時間は、労働時間に入れなくてもよいのでしょうか。」こうしたご相談は、警備・設備管理・運送業だけでなく、店舗、介護、医療、宿直業務など、さまざまな職場で生じます。
結論からいうと、実際に作業をしていない時間であっても、会社の指示にすぐ対応しなければならず、労働から自由に離れられない状態であれば、労働時間に該当する可能性があります。ポイントは「何をしていたか」だけではなく、その時間を従業員が自由に使える状態だったかという点です。
「何もしていない時間=休憩時間」ではありません
労働時間とは、一般に「使用者の指揮命令下に置かれている時間」と考えられています。
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」でも、会社から指示があればすぐ業務に従事することを求められ、労働から離れることが保障されていない待機時間、いわゆる「手待時間」は労働時間として取り扱う必要があるとされています。
たとえば、来客がない時間に受付で待機している、荷物が到着するまで倉庫内で待っている、機械に異常があればすぐ対応できるよう監視室にいる、といったケースです。
その時間に読書やスマートフォンの使用が認められていたとしても、それだけで休憩時間になるわけではありません。呼ばれればすぐ対応しなければならず、持ち場を離れることもできないのであれば、実態として会社の管理下にあると考えられるためです。
仮眠時間でも労働時間になることがあります
待機時間について参考になる代表的な裁判例が、大星ビル管理事件(最高裁第一小法廷・平成14年2月28日判決)です。
この事件では、ビル設備の管理を担当する従業員の泊まり勤務中に設けられた仮眠時間について、労働時間に当たるかが問題となりました。
従業員は仮眠を取ること自体はできましたが、仮眠室で待機し、警報や電話があった場合には直ちに対応することが義務付けられていました。最高裁は、実際に作業をしていない時間であっても、労働から離れることが保障されていなければ使用者の指揮命令下から離れたとはいえないとの考え方を示し、この事案の仮眠時間を労働時間と判断しています。
つまり、「電話が鳴ることはほとんどない」「夜間はほぼ寝ている」といった事情だけで、労働時間ではないと判断することはできません。
実務では「その時間に何を制限しているか」を確認する
待機時間の取扱いを整理するときは、名称ではなく実際の運用を見ることが大切です。
特に確認したいのは、待機場所が指定されているか、外出できるか、電話や警報への即時対応が求められているか、待機中に別のことを自由にできるか、実際にどの程度呼び出しが発生しているか、といった点です。
たとえば、「休憩時間」と勤務表に記載していても、電話番を任せていたり、来客があれば対応するよう求めていたりすれば、休憩とはいえない可能性があります。
反対に、一定時間は完全に業務から解放し、外出も自由、電話対応も他の担当者に引き継ぐといった運用ができているのであれば、休憩時間として整理しやすくなります。
まずは「待たせ方」を見直してみる
会社として重要なのは、すべての待機時間を一律に労働時間として処理することでも、逆にできるだけ休憩扱いにすることでもありません。
まず、現在の勤務の中に「仕事はしていないが、自由にもなっていない時間」がないかを確認しましょう。
労働時間に該当するのであれば、勤怠記録や賃金計算に反映させる必要があります。一方で、長時間の待機が経営上の負担になっているのであれば、担当者を交代制にする、電話当番を分ける、呼出し体制を変更するなど、業務そのものを見直す方法もあります。
待機時間の問題は、「労働時間かどうか」だけを考えるより、なぜその場に待機させる必要があるのかまで整理することで、現実的な解決策が見つかりやすくなります。
当事務所では、勤務実態や業務内容を確認したうえで、労働時間の整理だけでなく、シフトや休憩の取り方、勤怠管理の方法なども含めて会社に合った運用を一緒に検討しています。「今の待機時間の扱いで問題がないか確認したい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
